お口の健康から、子どもたちの健やかな成長・発育を目指して 小児とその家族の予防歯科を展開

るか歯科医院

群馬県邑楽郡邑楽町中野2901-5

高齢者歯科から「むし歯をつくらない」小児歯科へシフト

 東武鉄道小泉線本中野駅から1㎞ほど進むと、「むし歯にしない」を目指すこどもの歯医者さんと軽やかな書体で書かれた、るか歯科医院の看板が目に飛び込んでくる。

 実はこの看板、2014年の開業当初には設けられていなかった。青木流香(るか)院長と令子(のりこ)副院長が診療を続ける中で導き出した結論が「むし歯をつくらない」小児歯科医師になることだった。

 開業前は、院長が補綴科、令子先生が歯周病科と、そろって母校の神奈川歯科大学病院で勤務していた。「私たちはともに両親が歯科医師ではなかったので、開業するにしても自分たちで道を切り拓いていかねばなりませんでした」。こう話す院長が開業の地として選んだのが、縁あって移り住んだ今の場所だった。

 この町も例にもれず高齢化が進んでいた。そのため、高齢患者さんを想定して開業した。ところが、いざ蓋を開けてみると、むし歯の小児が多く来院。これは全くの想定外だった。

 小児の場合、診療を怖がって泣き叫んだり、手足をばたつかせたりして、ユニットに座ることを嫌がることが多い。院長らは子どもたちを器具やユニットに慣れさせることからスタート。徐々に子どもたちの診療への恐怖心は少なくなり、スムーズに治療ができるようになっていった。

 そうしているうちに院長たちは一つの疑問を抱きはじめた。いったんはむし歯治療が終了した子どもが定期検診で来院するたびに再びむし歯をつくって来院するケースが多く見られたからだ。

「何のために子どもたちを環境に慣らし、むし歯を削って詰めてきたのかと自問しました。ちょうどその頃、子どもが生まれました。そしてわかったのは、親がわが子に一番望むのは健康な成長だということ。それは、口腔内に関しても全く同じです。私たちは、治療を上手に受けられる子どもたちを育てるのではなく、お口の健康から、健やかな全身の成長・発育をサポートするよう『むし歯をつくらない歯医者さん』を目指そうと決意したのです」

 こうして、るか歯科医院は高齢者中心の歯科医療から小児に特化した予防歯科医療へとシフトした。


予防歯科専用のこども歯科室を増築。同時に予防と治療の完全予約制を導入

 以降、小児の予防歯科に力を入れていたが、子どもにむし歯をつくらないためには、それだけでは不十分であることに院長らは間もなく気づく。親、特に妊娠中から母親のむし歯を予防することが子どもの口の健康を守ることに直結することからマタニティ歯科にも注力するようになった。

 また、この地域は、3世代同居や、忙しい親に代わって孫の世話をする祖父母が少なくない。そのため、いくら親たちが子どものむし歯を防ごうと努めても、祖父母にむし歯があったり、孫に甘いお菓子を食べさせ続けたりすると、孫のむし歯の原因をつくってしまう。そこで、院長らは祖父母を含めた「親子予防」に積極的に取り組みはじめた。

2021年、院長らは大きな決断をする。予防歯科専用のこども歯科室を増築したのだ。

▲既存の診療室(オサダスマイリーイニシオプラス)


「既存の診療室は個室ではなく、3台のユニット(うち2台はオサダスマイリーイニシオプラス)が並んだパーテーションタイプで、自分が診療していても、後ろを通る患者さんに『こんにちは』『お疲れさま』などと一言声をかけられるように、あえて動線一致にしました。しかし、小児の患者さんが増えた結果、大人の歯の治療をしている隣で子どもの定期健診をしているという状況になりました。当院には小児と言っても0歳の乳児から未就園児が多く来院しているため、治療の音を怖がってしまい子どもたちが落ち着いて定期検診を受けられないと考えたのです」

 子どもの定期健診時に、親から子どもが痛いといっている歯を診てほしいと要望があった際、これまでは、予防を行うユニットと治療を行うユニットが同じだったこと、また同じ診療室内に歯科医師がいたため、今日は定期検診の予約であり治療の予約ではないので応急処置になる、ということの理解を得ることが難しかった。そこで、こども歯科室の増設に合わせて、こども歯科室は歯科衛生士の予防、治療は既存の診療室とし、それぞれを完全予約制とした。

「こども歯科室にいるのは歯科衛生士だけなので、応急処置対応に対する親御さんの理解を得やすくなりました。もちろん何もしないわけではなく、歯科衛生士が対応できる応急処置を行います。また、以前は定期健診後、私たち歯科医師が口腔内を確認したり、お母さんに説明をしたりしていましたが、担当歯科衛生士からの説明に切り替えました。」

 このシステム変更について、小児患者の親たちから声は上がらなかったのだろうか。「全くありませんでした。当院では元々、担当歯科衛生士制で患者さんとの信頼関係が構築されていたことと、歯科衛生士にはしっかりとした診断と説明ができるような教育システムがあり、それをクリアしてから担当を持っていますので、親御さんからの不満の声などの問題はありませんでした。予防歯科では、歯科衛生士の役割が非常に重要です」と院長は語る。


こども歯科室のユニットはオサダペディシア一択で導入を決定

▲診療室をつなぐ緑のトンネル。奥のこども歯科室へとつながっている。

▲こども歯科室。3色のペディシアと対応する壁でカラフルな空間になっている。


 こども歯科室と既存の診療室とは緑色のトンネルでつながっている。こども歯科室にはピンク、イエロー、ブルーのオサダペディシアが配され、それぞれのユニットが向かう壁の色はユニットと同じになっていて、カラフルな空間ができあがっている。また、室内には、ソフトクリームやドーナッツ、ハンバーガーなどのかわいい丸イスが置かれている。さらに、こども歯科室の一角には人工芝が敷かれたスペースが設けられている。ここは膝上診療といい、3歳以下の子どもたちの口腔内を診る場所となっている。

▲人工芝が敷かれているスペース。3歳以下の低年齢児の口腔内を診る際に使う診療エリア。


 ところで、院長先生は大学病院に勤務していたときからのオサダユニットのファンだ。「飾り気がなく、質実剛健。しかも、何かあるとすぐに担当者が来てくれるのでとても助かります。こども歯科室に導入するユニットはオサダ一択でした」と嬉しい言葉をいただいた。

 オサダペディシアは小児歯科診療のためにつくられたユニットだ。ヘッドレストが体格に合わせて可動できたり、カートテーブルが治療機器を見えにくくしたりといった、子どもの不安感をなくす工夫が随所に施されている。「スピットンやタービンなどが外せて、昇降機能付きのチェアのみのタイプがあると活用の幅がもっと広がるのではないでしょうか。また、一人でユニットに座れないような子ども向けに、膝の上で診療できる装置があるといいですね」と貴重なアドバイスをいただいた。


歯並びが悪くなる根本原因にアプローチする「Myobrace」を取り入れる

▲医院2階「Myobrace」を行うスペース


 院長は最近、筋機能矯正の「Myobrace」を取り入れた。

 Myobraceは口腔周囲の筋肉の悪い癖を修正し理想的な機能に導くことで、歯並びが悪くなる原因を取り除き、お口から始まる健康に効果があるマウスピースを用いた治療法のこと。院長は、「原因を改善することで予防していくという考え方は“むし歯をつくらない”というむし歯予防の考えと全く一緒です。歯並びが悪くなってから矯正治療を行うのではなく、その根本原因である筋機能が正しく働くようにすることで健やかな成長を促したいのです」と言う。

 次から次へとやりたいことが湧き出てくるという院長。常に相談相手となり、時には厳しい意見を言うのが令子先生だ。「気になることがあると四六時中仕事の話をしています。特に、子どもが生まれてからは、子どもの成長発育について話すことが増えました」と令子先生。

「るか歯科医院は進化の途中です。これからもお口の健康から、子どもたちの健やかな成長・発育をサポートするために新たな試みを積極的に取り入れていきたいと思います」。お二人は声を合わせてこう力強く結んだ。


【こども歯科室の様子】

▲市販のジュースの糖分含有量が分かるディスプレイ

▲「来てくれてありがとう」のおもちゃ

▲院内のおしゃれなディスプレイは院長のこだわり

▲こども歯科室の雰囲気を明るくする小物

▲人工芝のスペースを卒業し、ユニットに移行する期間の子どもを診療するスペース


【るか歯科医院 医院レイアウト】


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